知っているようで、知らない素朴な疑問にお答えします。
環境関係
問1 |
最近、土壌汚染や地下水汚染が問題になっていますが、どの様な調査をして、どの様な対策が行われているのですか。 |
(お答えします)
土壌や地下水を汚染する物質は多種多様で性質も違います。また地盤の複雑さもあいまって、汚染の形態はそれぞれ異なります。したがって、汚染実態を明らかにする調査および浄化対策の方法は、対象とする物質の特性や周辺環境に応じて選択することが大切になります。 今回は、トリクロロエチレンなどの有機塩素系化合物による土壌・地下水汚染の解明調査と浄化対策の方法を簡単に説明します。
(1) 調査の方法
① 資料等調査:汚染の可能性、深度方向および平面的な広がりを推察するため、対象物質の使用履歴や既存の地質・水理文献などを調べます。
② 土壌ガス調査:汚染の有無や平面分布を把握するため、表層部の地中ガスを対象として調査を行います。主な方法としては検知管法、ポータブルGC法、吸着/熱脱着/GC法があります。
③ ボーリング調査:土壌・地下水汚染の三次元分布、地盤状況および帯水層の水理特性を明らかにするため、ボーリング調査を行います。採取した土壌や地下水について分析し、またボーリング孔を利用した各種の試験を行います。
(2) 浄化対策の方法
浄化対策としては、汚染土壌を掘削して加熱または焼却して除去する方法や原位置での土壌ガス吸引法、地下水揚水ばっ気法が主に適用されています。
問2 |
地球の温暖化で海抜ゼロメートル地帯がもっと増えると聞きますが、現在どの様にして、海面との差が守られているのですか?また、今後の対策とかあるのですか? |
(お答えします)
例えば、海面が1m上昇した場合、日本全国では満潮水位以下の地域は、現在の約2.7倍の2,339km2、対象人口は2倍の410万人になり、その中に集積されている資産は109兆円になると試算されています。また、海面上昇によって洪水や高波の影響を受けやすくなるほか、海水温の上昇に伴う台風の大型化で高潮の被害が増大することも考えられます。この他、地下水域への海水の浸入や、河川の下流部での塩水化で水道水や農業用水の確保が困難になるなどの間接的な影響も想定されます。 このような新たな災害要因に対し、約27,000kmの海岸線の1/2に海岸堤防・沈水堤防などが設けられていますが、所要の機能を確保した保全施設の占める割合は低いのが現状です。さらなる災害発生時の被害を少なくする対策とともに、発生そのものを未然に防ぐ地球規模での対応も求められています。