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技術ニュース81 固有周期と被災

 固有周期と被災について,建物を例にとって説明します。その前に,まず『地盤の卓越周期』について少し話をしましょう。

 ある地点の地表面での"揺れ"は,地殻の震源(断層)で発生した地震波が,地震基盤(岩盤)を伝播していく経路(伝わり方),さらに表層地盤での地震波などによって左右されます。
 この地震の揺れの性質は「振幅」と「周期」によって分けて考える事ができます。「振幅」は地震の揺れの大きさをあらわし,「周期」は時計の振り子のように地震の揺れが"いって戻って"という往復するまでにかかる時間を示しています。地震の振幅と周期は地盤によって変わってきます。
 "軟らかい"地盤では振幅が大きく周期が長くなる傾向が,"硬い"地盤では振幅が小さく周期が短くなる傾向があります。このような地盤が持つ揺れの周期の特性を特に『卓越周期』と呼んでいます。

 建物は地盤から伝わる振動を受けて常に揺れていますが,建物にも地盤と同じように固有の周期があります。全ての建物は材料の密度や全体の重量などによって,それぞれが揺れる周期を持っており,これを建物の『固有周期』と呼んでいます。建物の固有周期(設計用一時固有周期)は,略算式で,次の式で求めることができます。

T=h(0.02+0.01α)
ここで,T: 建物の設計用一次固有周期
h: 建物の高さ(m)
α: 建物のうち柱および梁の大部分が木造又は鉄骨造である階(地階は除く) の高さの合計のhに対する比

 例えば,RC構造であれば,T=0.02hとなり,5階~10階以下の建物(1階あたり3mで計算すると,建物高さは15~30m程度)だと,0.3秒~0.6秒前後の固有周期となります。

 固有周期に伴う建物の被災は,地震が起こると地盤が揺れ,その上に建っている建物も当然揺れが生じます。この時に,建物の"相性"がうっかり地盤と合ってしまうと,建物は大きく揺れて,最悪の場合壊れることもあります(図-1参照) 。

図-1 共振による影響

 この"相性"とは,地震時に地盤の周期と建物の周期とが一致して共振することを指しており,共振する事によって揺れは激しさを増し,そして建物の強度の限界を超えたとき,ついに建物は倒壊してしまうのです。このことは,関東大震災の木造と土蔵の被害を調査したときに初めて明らかにされました。調査の結果,木造の建物は地盤が軟弱な下町で多く壊れ,土蔵(木造に比べ剛性が大きい) は地盤が比較的良い山手で多く壊れていることが報告されています。つまり,軟らかい構造である木造の長い固有周期が軟らかい地盤である下町の卓越周期にあい,硬い構造である土蔵の固有周期が硬い地盤である山手の卓越周期にあったということです。
 したがって,共振させないためには,建物の周期と地盤の振動の周期とを一致,または近づけないようにする事が大切です。

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